アジングロッドのソリッドティップとチューブラーの違い

アジング理論
上が18コルトGCRTS-642L-HSのソリッドティップ、下がブルーカレントⅢ82のチューブラーティップ

初心者さんがアジングロッドを選ぶとき、必ず悩むのがソリッドティップとチューブラーの選択です。これはアジングの永遠のテーマでもあり私もたいへん悩みました。この疑問をネットで調べても結論を書いている記事は見当たりません。なぜならロッド製造の技術があがり今ではソリッドでもチューブラーでもどちらでもアジが釣れるので「好み」で片付けられるからです。

このブログでは

  • アジングロッドに求められる要素は何か?
  • ソリッドティップが得意なところはどんなところなのか?
  • チューブラーが得意とするのはどのような状況なのか?
  • 結局何を選べば良いのか?

これらを明確にすることで自分のスタイルに合ったアジングロッドを選ぶ道しるべになっています。悩める子羊さんついてきてくださいね!(自分でハードル上げたぞ、σ(゚∀゚ )オレ)

注意:今回も画像無しの鬼論文形式の記事です。まじめな内容なので本気で読みたい人だけ読んでください。

アジングロッドに求められる要素

結論から行くと、アジングロッドに必要な要素は以下の三つです。

  • アンダー1gの軽量リグの操作性
  • アジのアタリを感じ取れる感度
  • アジを掛けたあと魚をバラさず確実に捕れるロッドの柔軟性

あれ?キャスト性は、と言われそうですがキャスト性は慣れです。特にショートロッドの近距離アジングの場合飛距離はそこそこで十分釣れるので考慮しなくても大丈夫です。

それでは三つの要素を見ていきます。

操作性

夜間に1g以下のジグヘッドが10メートルくらい先の海中のどこにあるかを把握して、思ったとおりにジグヘッドを浮かせたり沈めたりできるのが操作性です。

操作性はロッドの「張り」が大きく作用します。張りが強いとジグヘッドの存在確認か容易になりジグヘッドを浮かせ沈めも楽に行えます。しかし、単に張りが強いロッドではアジのアタリを弾いて釣りにくいロッドになります。またジグヘッドの存在を確かめるためにチョンチョンと動かすだけでジグヘッドは大きく動いてしまってアジに違和感を与えます。

アジのアタリを弾かず、存在確認で大きく動かすことなくリグを操作できるようにするためにはティップには張りの他に柔らかさが必要です。

「張りがあるのに柔らかい」この相反する要素をクリアするために特にソリッドティップロッドは試行錯誤が繰り返し行われてきました。

ソリッドティップの操作性

世にアジングロッドがまだ存在せずメバリングロッドが流用されていたころは、メバリング用の柔らかいソリッドティップが使われていました。しかし柔らかいソリッドティップではリグの存在確認が分かりにくいため、硬いソリッド(ハードソリッド)を使いリグの存在確認をわかりやすくしました。ハードソリッドを使うことでソリッドティップのリグの存在確認性能は向上しましたが、今度は硬すぎてアタリをはじいてしまいアジを誘ってアタリは取れるけど釣れないロッドになりました。

そこでハードソリッドを細く削って小さな負荷で曲がるティップを作りました。わずかな負荷で曲がるティップはアタリをはじきにくくなりました。これにより負荷がない時はピンとしてリグの存在が分かりやすく、アタリがあった時は弾かずのせられて、リグにアクションをつけてた時にはアジに違和感なくナチュラルな操作性ができるティップが作られました。

チューブラーの操作性

もともとティップまで張りを作りやすい構造のチューブラーロッドは基本的に操作性が高いロッドですが、ティップ部の張りはアタリを弾いてしまうためわざと少し張りを落とし曲がりやすいティップにすることでアタリを弾かず、存在確認時のリグの動きを抑えながらジグヘッドの存在確認性能を確保しました。

操作性をまとめると

ハードソリッドを使用したソリッドティップの操作性は試行錯誤を経て今ではどのロッドも高いレベルです。アジング専用ロッドと謳われているロッドなら入門機種でも十分な操作性と感度を持ち合わせています。

張りを落としてブランクス設計を行うチューブラーの操作性はソリッドに比べて劣ることが多いです(たまにティップまで張りの強いチューブラーロッドも存在します)、また柔らかくしたティップが大きく動くためリグの存在確認性能もソリッドに比べてやや劣ります。

ここから私の主観になりますが、アジングロッドの製造はチューブラーよりソリッドティップの方が簡単なんだと思います。細く削ったハードソリッドとベリーとバット部を担うカーボンチューブラーの組み合わせは簡単にそこそこの完成度が生まれるのだと思います。一方チューブラーロッドはバットからティップまで一体のブランクスから作られるのでティップ、ベリー、バットのバランスを整える技術ノウハウが高く要求されると思います。だからジグ単用ショートアジングロッドのほとんどは簡単に作れて性能を出しやすいソリッドティップで作られて、設計が難しく面倒なチューブラーで作るメーカーは少ないのだと思います。

ちなみに、軽量ジグ単用のチューブラーショートアジングロッドを販売しているメーカーは、
ヤマガブランクス(ブルーカレント)、パームス(ピンウィール)、ブリーデン(トレバリズムキャビン)、テイルウォーク(アジストTZ)などがあります。この中で自社でブランクス製造まで行っている(焼き窯を持っている)のはヤマガブランクスだけです。自社だけでなく他メーカーのOEM生産も請け負うためチューブラー ロッド製造技術は定評があります。

アタリを感じ取る感度

アタリはアジがジグヘッドと接触したことが分かることです。接触はアジがジグヘッドやワームを咥える場合もありますが、魚体に触れて感じるアタリもあります。またアタリには大きく分けて反響感度と荷重感度の2種類があります。

反響感度と荷重感度

反響感度はジグヘッドから発生した振動がラインを伝ってロッドで反響して「コン」とか「コツン」とか「モゾ」とか「ソワ」と手元に伝わるアタリです。ONのアタリとも言われます。

荷重感度は直前まで感じていた力がなくなることで感じるアタリ(抜けアタリ)や、水面のラインがぴくっと動くだけで手に感じないアタリです。OFFのアタリとも言われます。

ソリッドティップでの反響感度

反響感度の伝達はソリッドティップが得意てす。張りのあるソリッドと振動伝達効率の高いチューブラーブランクスの組み合わせは小さなアタリを明確に手元まで伝えます。

ソリッドティップでの荷重感度

先端部の数センチしか曲がらないソリッドティップでは荷重の変化を伝えるのが苦手で、ティップが大きく曲がるチューブラーより分かりにいです。

チューブラーでの反響感度

ティップ部まで中空構造のチューブラーもソリッドティップと同様に反響感度の伝達は得意なんですが、アタリを弾かないようにティップをわざと柔らかく設計するので本来持っている反響感度性能も落ちてしまいます。同じラインを使用した場合にソリッドティップよりチューブラーは反響感度が劣ります。

チューブラーでの荷重感度

先端からロッドの1/3くらいを曲げて荷重を受け止めるチューブラーは、荷重が抜けたときにロッド先端の動きが大きくなるため抜けのアタリが分かりやすくなります。特に比重の重いフロロカーボンラインを使うと抜けアタリを取りやすくなります。

反響感度・荷重感度のまとめ

ソリッドティップは反響感度が得意で、荷重感度は苦手です。得意不得意がはっきりしてます。
チューブラーは反響感度はそこそこ、荷重感度はソリッドよりわかる。どっちもできるけどどちらも得意でない感じです。

柔軟性

柔軟性とは、ロッドにかかる負荷に比例してしなやかに曲がり、負荷が抜けると素早く戻ること。柔軟性があるロッドはアジが引けば曲がって耐えてアジが暴れれば暴れに合わせてロッドがいなし、テンション抜けを防ぎバラシにくくなります。

ソリッドティップの柔軟性

小さな負荷はソリッド部でいなしますが、ソリッドが耐えられなくなるとカーボンチューブラーのベリー部バット部が負荷を受けます。しかし、ソリッド部とカーボン部の急激な曲がりの違いがあるためテンション抜けを防ぎきれずバラシが多発します。テンション抜けのバラシを防ぐためにみんなドラグをユルユルにしてジージー言わせながらアジを釣るのです。

チューブラーの柔軟性

ティップからバットまで一本のブランクスからできているチューブラーは負荷による曲がりがスムーズでテンション抜けが起こりにくいです。アジを掛けてからロッドの優れた柔軟性でアジの動きをいなすのでドラグに頼らなくてもバラシにくいです。

ソリッド、チューブラーロッドの特徴をまとめると

ソリッドティップのアジングロッドはアタリを感じて掛けることに重きを置いたロッドです。悪い言い方をすると(操作性で)アジを探して(反響感度で)アタリを取って掛けるまでは得意だけどそのあとは知らん(バラさない柔軟性は持ち合わせてないからドラグで調整してくれ)というロッド。状況にハマればアタリを感じまくり掛けまくりで初心者でもなんぼでも釣れるロッド。

チューブラーは突出したところなくすべての要素を平均して備えるロッド。悪い言い方をすると驚きも感動も少ないし爆釣もしないけどだいたいどんな状況でも釣れてるというロッド。

こうやって書くとチューブラーってつまらんロッドのように聞こえますが、チューブラーロッドを使うようになって周りのアジンガーさんが釣れない状況の中で一人でぽろぽろ釣る経験を何度もしました。なんでかなと考えて行き着いた結論はソリッドティップでは取れない荷重感度のアタリを取れてるのだと思います。ソリッドがハマった時の釣れる数はチューブラーは全然話になりませんが、ソリッドティップで取れない難しいアタリを取れるのが楽しくて私はチューブラーロッドでアジングしています。

最近ではアジングロッドも個性を出さないと売れないのか、ソリッドティップでも柔軟性を備えたロッドも出てきましたし、廃版になりましたがチューブラーで棒のような硬いアジングロッドもありました。チューブラーだからソリッドだからというより、「簡単なアジングがしたい」「アタリを感じて積極的にアワセる掛けの釣りがしたい」とか「豆アジを確実に釣りたい」「抜けアタリを取りたい」など自分がどのような釣りをしたいか明確にしてその釣り方にあった竿を選ぶのが良いでしょう。この記事でソリッドとチューブラーの特徴をご説明しましたので好みのスタイルに合ったロッドを選んでいただけると思います。

最初の一本に選ぶなら

これからアジングを始めるところで自分のしたいアジングが分からないというときは、個人的には最初のアジングロッドはソリッドティップがいいと思います。操作性がよく反響のアタリを感じやすく掛けやすい、つまり初心者でもアジングで実際に釣れる体験をしやすいからです。

ソリッドティップで一通りアジングを体験してから、自分の求めるアジングのスタイルにあったソリッドまたはチューブラーのロッドを選ぶのが上達の近道だと思います。

私がおすすめする最初のソリッドティップロッドはオリムピックのコルトUXの20GCORUS-572UL-HSです。ハードソリッドでありながらチューブラーロッドに近いレギュラーテーパーで柔軟性を備えるので、高い操作性、敏感な感度、そして柔軟性がそろったソリッドとチューブラーの良いとこ取りロッドです。私はコルトUXと同じようなテーパー設計の34ガイドポストLHR-57で本格的にアジングを覚えました。

コルトUXはガイドポストより軽い57gでお値段はガイドポストの半分くらいで本気でおすすめするロッドですが、大変な人気でメーカー欠品中のようです。

下にコルトUXの公式ページのリンクを張りましたので興味ある方は公式ページもご覧ください。(ただし、オリムピックさんはいつも掲載してる情報が少ないので見てもつまらんです。)

20 コルト UX / 20 CORTO UX

少し高くても良ければ同じ設計の上位機種のオリムピック18コルトの572UL-HSなら今すぐ買えます。こちらの方がソリッドティップを0.6㎜(UXは0.7㎜)まで細く削っていてしなやかさがやっぱり違います。(10月28日現在完売したみたいです。UXに続いて18コルトも買えなくなってしまいました)

 

ちなみに、私のアジングロッドの変遷はこんな感じでした。

私のアジングロッド変遷
50歳になるとき、特に趣味もなくボヤーっと生活してて嫁さんから「なんか始めたら」と言われ、それじゃこれやろうかって始めたのがアジングでした。 それからアジング用にいろんなロッド買って、使って、感じたことを、ロッド変遷として買った順に書いてい...

皆さんのアジングロッド選択の参考になれば幸いです。

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